marcs導入事例 岩手日日新聞社

「『新聞の写真が動き出す』驚き・楽しさを、一番スムーズに提供できるARエンジンを選びました」岩手日日新聞社 総務局マルチメディア企画室 菅原祥氏 金田聡史氏
岩手日日新聞社でAR等のデジタルサービス事業を企画・開発・運営している菅原祥氏と金田聡史氏に、アララのAR動画配信プラットフォーム「marcs(マークス)」の活用状況、および導入経緯をうかがいました。

お話をうかがった方々

菅原氏

岩手日日新聞社 総務局マルチメディア企画室 菅原祥氏:

2002年入社(他業種営業職から転職)。編集局報道部に配属され、報道記者を約12年務める(途中2年間関連会社のケーブルテレビ局「一関ケーブルネットワーク」に勤務し、テレビ番組の取材・撮影・制作に携わる)。2014年4月、マルチメディア企画室設立に伴い、同室に異動(当初1名)。翌5月からAR事業を立ち上げ、8月からAR記事・広告の配信を開始。AR記事・広告の企画だけでなく、取材・撮影・動画編集・アップロード等まで行う。

金田氏

同 金田聡史氏:

2012年入社。編集局整理部に配属され、整理記者を約2年半務める。AR広告契約数の増加等によるAR事業の繁忙化に伴い、2014年11月、マルチメディア企画室に異動。菅原氏と共に、AR記事・広告の企画から、取材・撮影・動画編集・アップロード等まで行う。

本社ビル
総務局が入る本社ビル
東台センターと東台印刷工場
編集局、営業局、制作局が入る東台センター(右)と東台印刷工場(左)

岩手日日新聞社

本社岩手県一関市。支社6(東京、仙台、盛岡、花巻、北上、水沢)、支局3(千厩、江刺、平泉)。創立1923(大正12)年。

「岩手日日」

岩手日日新聞社が発行する日刊紙。岩手県内陸南部(花巻市・北上市・西和賀町・奥州市・金ヶ崎町・一関市・平泉町)を主たる配布エリアとする。エリア内人口約47万人、世帯数約17万。エリアを4ブロックに分け、ブロックごとに異なる版を発行。総発行部数55,600部。編集スタッフ約60名(内記者約30名)。AR技術を活用した記事・広告を2014年8月から掲載している。

「いわにちリビングun(アン)」

岩手日日新聞社が発行する生活情報タブロイド紙。岩手県内および宮城県北部を配布エリアとする(「盛岡・花巻・北上」、「一関・奥州」、「気仙」の3地区でそれぞれ異なる版を発行)。発行毎月2回。総発行部数145,300部。編集スタッフ約5名。AR技術を活用した記事・広告を2014年8月から掲載している。

「スマホをかざすと写真が動き出す記事」を、1日1本以上の頻度で掲載

― 岩手日日新聞社におけるAR技術の活用状況を教えてください。

当社では、紙面でのAR動画提供サービス「いわにちAR」を、2014年8月1日に開始しました。


このARサービスでは、「いわにちAR」ロゴマークの付いた記事や広告の写真にスマートフォンをかざすと、まるで写真が動き出すかのように、動画をお楽しみいただけます。


「いわにちAR」をお楽しみいただける記事・広告を掲載しているのは、次の4紙誌です。


●日刊紙「岩手日日」
●生活情報紙「いわにちリビングun(アン)」
●当社が制作受託しているJAいわて平泉(いわて平泉農業協同組合)の月刊広報誌「こしぇる」
●一関ケーブルネットワーク番組ガイド紙


他に、折込チラシ、ポスター、パンフレットなどで「いわにちAR」を活用することもあります。


AR動画を提供するためのプラットフォーム(=ARエンジン)には、サービス開始以来、アララ社のmarcsを使用しています。


「いわにちAR」の提供イメージ
「いわにちAR」提供イメージ
「いわにちAR」の楽しみ方:
1. あらかじめスマートフォンに無料アプリ「marcs」をダウンロードしておく。
2. 「marcs」を起動する。
3. 『スマホで動画 いわにちAR』のロゴマークがある写真に、スマートフォンをかざす。

4.

動画再生が自動的に始まる。上のサンプル記事の場合、地元フットサルチーム「ヴィヴァーレ」のメンバーが、写真の状態から動き出す。

※2015年7月31日まで上記サンプルの動画を配信予定(リニューアルにより見られなくなる場合があります)

「いわにちAR」ロゴマーク
「いわにちAR」のロゴマーク。スマートフォンの形と、marcsのロゴマークをあしらってある。

― 「いわにちAR」を利用した記事の、掲載頻度を教えてください。

AR記事の例
動きがあり、地域の人々が動画に多数映ることができる地元のお祭りは、AR動画が再生されやすいトピックの一つ。
※2015年3月31日まで上記記事のAR動画を配信予定

日刊紙「岩手日日」では、1日1本以上の掲載(広告含む)を目標にしています。動画付きで報道するのに向いたイベントは休日に集中しやすいので、平日には「いわにちAR」利用記事を掲載しないこともあるのですが、平均すると、実際に1日1本以上のペースで掲載できています。編集、営業両局をはじめ、社内の理解・協力に感謝しています。


生活情報紙「いわにちリビングun」(毎月第2・4金曜日発行)では、毎号クッキングのコーナーで「いわにちAR」を使っています。他に、特集記事に「いわにちAR」を使うこともあります。ですので、毎号1~2本、多い月は7~8本、「いわにちAR」利用記事を掲載しています。


制作を受託しているJAいわて平泉の月刊広報誌「こしぇる」では、毎号の表紙写真に「いわにちAR」をご利用いただいています。


以上の4紙誌を合わせて、月に35~40本の「いわにちAR」利用記事を掲載しています。


「いわにちリビングun」でのAR利用
毎号クッキングコーナーで「いわにちAR」を使い、料理やお菓子の作り方を動画でも紹介している生活情報紙「いわにちリビングun」
広報誌「こしぇる」でのAR利用
毎号表紙写真に「いわにちAR」を使っているJAいわて平泉広報誌「こしぇる」(左)。2015年1月号では、県内JA広報誌新春統一特集の扉ページ(右)にも「いわにちAR」が採用された。

AR広告から、AR事業のランニングコストを上回る収益が出始めた

― 広告での「いわにちAR」の利用状況はいかがでしょう。

自社商業印刷パンフレットでのAR利用

自社商業印刷のパンフレットにも、ARを利用している(クリックで拡大)。
※2015年7月31日まで上記ページのAR動画を配信予定

「岩手日日」と「いわにちリビングun」を合わせて、現在、月に5本程度のAR広告を掲載しています。


既にAR事業のランニングコストを上回る収益が、AR広告から出始めています。


AR広告への興味を示していただいてる企業・団体は増えており、今後さらに利用が伸びていくことが見込まれています。


― 特にどのような企業・団体が、AR広告を利用していますか。

今のところ一番ご利用が多いのは、住宅メーカーです。「いわにちリビングun」の特集記事で、15社のモデルハウスの写真を掲載した時、ARを使ったモデルハウス写真への反響が大きかったようで、その後、同種の特集記事だけでなく、折込チラシでもAR広告をご利用いただいています。


住宅購入にごく軽い興味がある程度の方にも、動画で、気軽にモデルハウス内部を見ていただけるのが良かったようです。


我々が予想もしていなかったような業種・業態の方からAR広告の依頼を受けることも多いので、営業局には、あまり先入観を持たず、幅広い企業・団体にAR広告を提案してもらっています。


「多額の宣伝費をかけずに動画でお店や商材の魅力をアピールしたい」という地元企業、個人事業の方のほうが、AR広告に興味を持っていただきやすい傾向はあります。


最近は、官公庁や学校、NPO法人からの問い合わせも増えています。

「すぐに始められ、多くのメリットがあるデジタルサービス」としてARに着目

― 岩手日日新聞社がAR技術の導入を決めた経緯を教えてください。

わかりました。順を追ってお話しします。


まず、私たちの現在の所属部署である総務局マルチメディア企画室が、2014年4月に設置されたのですが、この時点では、まだAR技術の導入は決まっていませんでした。


「導入が決まっていない」どころではありません。


ARという技術が存在し、既にかなりの数の新聞が導入していたことさえ、社内のほとんどの人間が知りませんでした。これは、私たち2人を含めてです。


そもそもマルチメディア企画室がどういう目的で設置されたかというと、新聞という産業の将来を見据え、当社が中長期的に導入していくべきデジタルサービスを、調査・開発していくことです。


当初、配属は菅原1名でした。


マルチメディア企画室の立ち上げと同時に、まず行ったことは、全国の新聞社が行っているデジタルサービスを、徹底的に調べることでした。


AR技術のことは、その調査の過程で興味を持ちました。


はじめて見たAR記事は、ある地方新聞に掲載された、全国的に有名な祭礼の記事でした。


新聞に掲載された写真が、AR技術によってスマートフォンで動き出すのをはじめて見たときは、本当に驚きました。


「この技術は、当社でもすぐに取り入れるべきだ」と直感し、その目的や意義を社内提案したところ、社長からゴーサインが出ました。導入準備は部局横断で、若手社員も交えたARプロジェクトチームが中心となりました。


― AR技術の、どのような点が魅力だったのでしょうか。

AR技術の魅力は、大きく5つありました。


1つ目は、「とにかく楽しい」ことです。


2つ目は、「すぐに始められる」ことです。


3つ目は、「地元紙を買って読む最大の動機=『自分・家族・知人が出ている』を、何十倍にも増やせる」ことです。


4つ目は、「新聞に親しむ習慣を、ご家庭内で伝えていただくきっかけになる」ことです。


5つ目は、「新しい広告マーケットを創出できる」ことです。

まるでハリー・ポッターの「魔法新聞」

― 順々にうかがいます。1つ目の魅力、「とにかく楽しい」とは。

これはAR技術を導入している他の新聞社さんもよく使うたとえなのですが、新聞に掲載された写真がARで動き出す様子というのは、まるでハリー・ポッターに出てくる「魔法新聞」のようです。まさに「新聞の写真が動く」という感じで、はじめて見た方はみなさんびっくりしますし、とてもおもしろがっていただけます。


毎日の紙面で、魔法のような映像を楽しんでいたげるというのは、それだけで大きな価値だと思いました。

記者が「写真も動画も」撮影・編集できる下地が、すでに整っていた

― 2つ目の魅力、「すぐに始められる」とは。

菅原氏

「『写真が動き出す』驚き・楽しさを、一番スムーズに提供できたのがmarcsでした」(菅原氏)

電子新聞など、多くのデジタルサービスは、実現に多額の予算と長い準備期間が必要です。


これに対してARサービスは、比較的少額の予算で始められ、立ち上げにも運営にもそれほど人手がかかりません。当社のような規模の新聞社でも、すぐに始めることができます。


中長期的には、引き続き電子新聞などより大掛かりなデジタルサービスの導入を目指しつつ、まずはこのARサービスを、今後の「紙とデジタルの融合」の足がかりとして導入したいと考えました。


また、ARサービスの「始めやすさ」の一つとして、動画を導入するハードルが低いこともありました。


― 「動画を導入するハードルが低い」とは。

動画は新聞人にとって専門外の領域ではありますが、新聞のAR記事に使う程度の動画なら、今は新聞記者でも、簡単に撮影・編集できるということです。


基本的にスマートフォンで見ていただく動画なので、それほど高い画質は要求されません。最近は家庭用のビデオカメラでも、十分高画質な映像を、簡単に撮影できます。


凝った編集が要求されるわけでもないので、高額なプロ用動画編集ソフトは不要です。安価で、未経験者でも簡単に使いこなせて、機能も十分な編集ソフトも、たくさん出ています。


さらに当社の場合、記者が写真も動画も撮影できる下地ができていたことも、有利でした。


― 「記者が写真も動画も撮影できる下地ができていた」とは。

もともと当社の記者は、全員がカメラマン兼任で、取材をしながら写真も自分で撮っていました。


数年前からは、関連会社のケーブルテレビ局のニュース番組に、本社の記者が撮影した動画を提供していました。このことで本社の記者の多くは、写真も動画も撮れるようになっていました。


さらに、関連会社のケーブルテレビ局との人材交流も積極的に行っていたので、テレビ番組の撮影や編集を経験している者が何人もいました。ですので、ARサービスを始めるハードルが低かったのです。

最大の購読動機=「自分・家族・知人が出てる」を、何十倍にも拡大できる

― 3つ目の魅力、「地元紙を買って読む最大の動機=『自分・家族・知人が出ている』を、何十倍にも増やせる」とは。

ふだん購読していない地元紙を、わざわざコンビニなどで買う最大のきっかけになるのが、「自分や家族や知人の名前や写真が載っている」ことです。


たまたま自分や家族や知人が出ていて買われた方の何%は、その後も購読を続けてくださいます。


すでに購読されている方も、自分や家族や知人の名前や写真がよく載れば、そのぶん購読を継続していただける確率が高まります。


ですので、地方新聞の紙面には、地元の一般の方々の名前や写真が入った記事を、できるだけ多く載せることが重要です。


AR技術によって写真を動画化すれば、1つの記事で、通常の写真の数倍~数十倍もの方々にご登場いただけます。


これは販促上、非常に魅力的なことでした。


「ぼくたち わたしたち おおきくなったら…」
反響が大きい連載AR記事、「ぼくたち わたしたち おおきくなったら…」(月2回掲載)。毎回地元幼稚園・保育園の1クラス全員の「将来の夢」を顔写真入りで紹介している。中央の集合写真がARで動き出し、1分程度の動画でクラスを紹介する。マルチメディア企画室が編集局と連携し、インタビュー・写真撮影・動画撮影・編集・アップロードを行っている(クリックで拡大)。
※2015年3月31日まで上記記事の動画を配信予定

未来の新聞購読者を育てる「種まき」の意義も

― 4つ目の魅力、「新聞に親しむ習慣を、ご家庭内で伝えていただくきっかけになる」とは。

最近は、「若年層の新聞離れ」ということがよく言われるようになっています。


当紙の読者も、やはり高齢化が進んでいます。


昔のように「新聞が家にあるのがあたりまえ」ではなくなった昨今、新聞に親しむ習慣を、子育て世代の方々へ、さらにはお子さん世代の方々へと伝えていただくためのきっかけを、新聞社の側も積極的に作っていかなければなりません。


スマートフォンは子育て世代の方々に急速に普及していますし、「新聞の写真が動き出す」というのは、お子さんにとっても楽しい体験です。


お母さん・お父さんのスマートフォンを使って、親子で一緒に新聞に触れていただけることも、ARサービスの大きな魅力です。


ARサービスには、未来の新聞購読者を育てる「種まき」の意義もあるのです。


私たちマルチメディア企画室としては、このような未来に向けての「種まき」こそ、ARサービスを実施する最大の意義ではないかと考えています。

短期で利益を出しながら、長期の課題に取り組める

― 5つ目の魅力、「新しい広告マーケットを創出できる」とは。

先ほど申し上げたように、「動画でお店や商材の魅力をアピールしたいが、テレビCMを出すほどの予算はない」という会社やお店は、たくさんあります。


YouTubeに動画を出せばコストはかかりませんが、ネットを見ない人には見てもらえません。


紙面に「動く写真」を掲載できるということは、ネットを見ない人にも、テレビCMよりはるかに少ない予算で、動画による広告を打てるということでもあります。


このような新しい動画広告サービスを実現できる魅力も、AR技術にはありました。


4つ目の魅力として挙げた、未来の新聞購読者を育てる「種まき」のような取り組みは、短期の利益にはつながりません。


広告で短期の利益を出しながら、未来に向けた長期の取り組みができることも、ARサービスを導入する大きなメリットでした。

「新聞の写真が動く」楽しさを、シンプルに、毎日提供することを目指した

― ARサービスを導入するにあたり、どのような方向性を目指しましたか。

4つほどありました。


1.「スピーディーに始めたい」


「すぐに始められて、メリットが多い」というのがARサービスの魅力でしたから、できるだけスピード感をもって始めたいと考えました。


2.「毎日掲載したい」


新聞のARサービスは大きなイベントなどで使われることが多いのですが、私たちは「『動く写真』を毎日楽しめる岩手日日」を実現したいと考えました。


3.「できるだけシンプルにしたい」


新聞業界に限らず、AR技術を使って多様なサービスを提供しているところも多く見られましたが、私たちは、「新聞の写真が動き出す驚き・楽しさ」に的を絞り、できるだけシンプルなサービスを提供したいと考えました。


4.「制作する側のハードルも下げたい」


「特定の担当者しかできない」、「専門知識のある人間にしかできない」という状態にならないように、記事に関しては、動画の撮影や編集も、ARエンジンへの登録も、できるだけ多くの社員ができるようにしたいと考えました。


ただし広告に関しては、映像にもある程度のクオリティが求められるので、ケーブルテレビ局での番組制作経験のあるスタッフが制作を担当することにしました。

ARエンジンの選定基準

― marcs以外に、いくつぐらいのARエンジンを検討しましたか。

金田氏

「marcs管理画面での動画とマーカー画像の登録方法は、すぐに覚えられました」(金田氏)

アプリの数で言うと、数十本はダウンロードして動作を試しました。


有力候補として残った4社のARエンジン(marcsを含む)については、営業担当者に会い、詳しい説明を聞きました。


他の3社と比べて、アララ社の営業はどちらかと言えばあっさりしていました。しかしそうした点にはとらわれず、純粋にARエンジンそのものを比較検討しました。


― ARエンジンをどのような基準で比較しましたか。

主に8つの基準で比較しました。


基準1.「紙面の写真が動き出す」感じが自然か


「紙面の写真が魔法のように動き出す」というのは、ARサービスで私たちが最も重視した価値です。ARエンジンの中には、単に動画の再生が始まるだけで、「紙面の写真が動き出す」ようには見えないものもありました。


marcsの「写真が動き出す感じ」は、比較したARエンジンの中で最も自然でした。


基準2.アプリのダウンロードは簡単か


ARエンジンの中には、アプリをダウンロードしようとすると英語の説明が出てくるものがありました。英語が出てくるだけで「難しい!」「わからない!」と感じてダウンロードをあきらめてしまう方は、少なくないはずです。私たちは、たとえば地元の60~70歳の方でも楽しめるサービスを提供したかったので、このようなARエンジンは除外しました。


marcsは、ダウンロード時に出てくる説明が日本語でしたし、ダウンロードに難しさを感じることはありませんでした。


基準3.マーカー画像がスムーズに認識されるか


スマートフォンを写真(マーカー画像)にかざした時、スムーズに認識されるかどうかもチェックしました。


marcsは、マーカー画像の認識が一番スムーズでした。


基準4.機能が複雑過ぎないか


ARエンジンの中には、非常に複雑・多彩な機能を備えたものもありました。


marcsの機能はシンプルでしたが、私たちは「新聞の写真が動き出す驚き・楽しさ」に的を絞り、できるだけシンプルなサービスを提供したかったので、この点はむしろメリットでした。


基準5.スマホを写真にかざし続けなくても、動画を再生できるか


ARエンジンの中には、トラッキング機能によって写真と動画の重なりを維持するものもありましたが、このタイプはスマホを写真にかざし続けなければならないぶん、少々めんどうであるように感じました。


marcsは、動画の再生中スマホを写真にかざし続ける必要がないので、楽だと思いました。


基準6.動画やマーカー画像を簡単に登録できるか


ARサービスを提供する側の立場で、簡単に使いこなせるシステムかどうかもチェックしました。


marcsに関しては、特にITに詳しいわけではない私たちでも、簡単に動画やマーカー画像を登録できました。


基準7.料金体系がわかりやすいか


ARエンジンには、料金が従量制のものと定額制のものがありました。従量制は導入してみないと分からない要素があり、予算を立てるのも社内の承認を得るのも難しいと感じました。


marcsは、公開できる動画の数に応じた定額制で、私たちにも理解しやすい料金体系でした。


基準8.費用は適正か


「公開できる動画が50本で月11万円」というmarcsのMプランの料金は、かなりリーズナブルに感じました。


以上の基準で比較検討した結果、当社が目指すARサービスに最も適したARエンジンがmarcsだったので、採用を決めました。

再生回数が累計1万回を超える頃から、社内の空気が変わり始めた

― 実際にARサービスを開始して、反響はいかがでしたか。

反響はすぐ出始めました。2014年8月1日にサービスを開始して数日後、地元の夏祭りの記事にARを使ったところ、動画再生回数がいきなり1,000回を超えました。岩手日日の発行部数やスマホ普及率からすると、よいスタートを切れたと思います。


― AR広告の契約はすぐに取れましたか。

ARサービスを開始した8月中には1本目の契約が取れ、その月のうちにAR広告を掲載できました。AR広告を最初に利用してくださったのは、塗装ブースをリニューアルしたばかりの、地元の自動車修理工場でした。


― 社内の反応はいかがでしたか。

実のところ、ARサービスの開始が決まった当初は、社内の空気は必ずしも前向きなものではありませんでした。ARサービス自体の価値や意義については賛同が得られたものの、取材や編集の手間が増えることに関しては、シビアな意見が多かったのも事実です。


AR広告の契約が4本、5本と増えていき、AR動画の再生回数が累計1万回を超える頃から、社内でもARサービスへの関心がぐっと高まったように思います。繰り返しになりますが、特に編集、営業両局の理解と協力がなければ、ARサービスは成立しません。


「いわにちAR」自社広告
2015年元日の「岩手日日」に掲載した「いわにちAR」の自社広告。写真の晴れ着の女性がARで動き出す(クリックで拡大)
※2015年3月31日まで上記広告の動画を配信予定

サーバー障害時は夜中でも電話で対応してもらえた

― アララのサポート体制への評価をお聞かせください。

私たち新聞社は24時間365日稼働しており、AR動画をアップロードする時間は、基本的に夕方から夜です。これに対してアララ社を含むARエンジン提供会社は、どこも土日祝日が休みで、夜間は営業していません。ですので、サーバーの障害などでAR動画をアップロードできなかった場合の対応には、非常に不安を感じていました。


そんな中、アララ社は事業責任者の方が夜間も休日も電話で対応することを約束してくれているので、非常に感謝しています。これまで毎月40~50本の動画を5ヶ月アップロードし続けて、サーバー障害で動画をアップロードできないことが2回だけあったのですが、いずれの場合も、アララ社の営業時間外であったにもかかわらず、事業責任者の方にきちんと対応してもらえました。

これからARを導入する新聞社の方へのアドバイス

― 現在ARの導入を検討している新聞社の方に向けて、何かアドバイスがあればお願いします。

後発組の私たちが言うのはおこがましいですが、ARは、地方紙こそ導入する意義が大きいサービスだと感じています。規模に見合った予算と短い準備期間で始められるデジタルサービスですし、読者がARで動画を見たいと思うのは、全国ニュースよりも「身近な話題」ですから。


― 他にはいかがでしょう。

ARの記事・広告は、作る側も楽しんで作ることが大切だと思います。驚きや楽しさこそARの価値ですし、作る側が楽しんで作っていないものは、見る側もきっと楽しくないと思います。私たちも、取材先やクライアントと一緒に楽しみながらAR記事・広告を作ることを大切にしています。



― 貴重なお話をありがとうございました。


金田氏、菅原氏、アララ山本

「今後もよろしくお願いします」
(右:アララAR事業部 制作ディレクター 山本)

※ 岩手日日新聞社のホームページ
※ 「いわにちリビングun」のホームページ
※ 岩手日日マルチメディア企画室のFacebookページ
※ 取材日時 2015年1月 (文中の数値・役職等は、すべて取材時時点のものです)
※ 取材制作:カスタマワイズ
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